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輸送に伴う温度変化と結露

【Logistics Report】輸送に伴う温度変化と結露

異常気象が身近に感じられ、最高気温が35℃を超す真夏日の連続記録を更新したかと思えば、数日後には最高気温が25℃に届かない日が続くなど、今年は気温変化の激しい年となっています。
実は昨年の6月頃から、輸送商品の水濡れである「濡損」事故に関する問い合わせが非常に多く、例年の4倍近い件数になりました。「濡損」は輸送中に結露が発生することによって起こる事故ですが、結露はなぜ起こるのでしょうか。

よくある光景では、冷えたビールが入ったジョッキの表面に水滴が付くという現象があります。
この例では、冷えたビールと室内の温度差によって水滴が発生しますが、同じ現象が輸送商品の表面や輸送コンテナの内壁で発生し、「濡損」の原因となります。そのモデルを図1に示します。

図 1:結露が発生するモデル

図1で℃=gと%で示された数値があります。先ず、%で示された数値は皆さんがよくご存じの湿度で、正式には「相対湿度」と言います。それに対し、gで示された数値も湿度を表しており、正式には「絶対湿度」と言います。
物理現象で見ると、温度はいわばコップの大きさを表すもので、高くなると大きく、低くなると小さくなります。温度=コップの大きさに対し、空気中に浮遊している水分の量を相対的に示すのが「相対湿度」です。
室内が30℃、66%であった場合、冷えたジョッキの表面が20℃以下になった瞬間、そこでは空気の器が急激に小さくなり、余った水分が水滴として現れる。これが結露の発生原理です。
つまり、輸送中に温度変化がある状態では結露が発生する危険が高くなることになりますが、コンテナ輸送では、内部が高温になることが知られています。

図 2:欧州向け海上コンテナの温度、湿度の推移

図2は東京からロンドン向け海上コンテナの温度と湿度の推移を示しています。海上コンテナは気密性が高いため、コンテナ詰めをした時の天候によっては、包装材段ボール、梱包材木材が含んでいる水分を内部に閉じ込めてしまいます。扉を閉めた時点で封入した水分量が決まり、湿度の低い冬場は包装・梱包材は乾燥し、湿度の高い夏場は、包装・梱包材は湿って沢山の水分を含むことになります。
また、空気中に浮遊する水分量も天候次第で変わってしまいます。

最初に閉じ込めた空気中の水分量は、コンテナ内では変わることはありません。
その中で、日中太陽に照らされ温度が高くなると、コップの器が大きくなるため、相対湿度が低くなり、乾燥状態が生まれます。空気が乾燥すると包装・梱包材に含まれた水分が蒸発し、空気中の水分量は多くなります。
包装・梱包材から出た水分は、素材の性質上元に戻ることはありません。従って空気中の水分量は多くなったままになります。

次に、夜間日が落ちると温度が下がり、コンテナ内が冷やされます。空気の器が小さくなるので包装・梱包材から出た水分により、相対湿度が高くなっていきます。
これを繰り返すと、最終的に夜間、空気の器が小さくなった時、器から漏れる水分が現れ、結露となってしまいます。

このような現象から、結露を防ぐには、①輸送中の温度変化を小さくする、②包装・梱包材に含む水分量を適正にする、③コンテナ積み込み時に雨等による水気を極力入れない、という点に最低限注意を払う必要があります。
また、④乾燥剤を入れ余分な水分を吸収する、といった手段を講じることも一つの方法です。包装材や梱包材の水分量に関しては圧力の強度にも影響するので、またの機会にお話したいと思います。

http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/kyogikai/pdf/Shipper%20recommendation%20system%20Leaflet.pdf

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