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ラストマイル配送は人からロボットへ①

Global Reportラストマイル配送は人からロボットへ①

第19号の当ニュースレターの記事で、ドイツ・ベルリンでの「BVLサプライチェーン・カンファレンス」について取り上げました。そこでは討議のみならず、新しい技術や具体的に“目に見える形”での商品などの紹介もありました。その中でラストマイルの自動配送ロボットを開発している「スターシップ・テクノロジーズ(以下“スターシップ”)」の最高執行責任者(COO)がプレゼンをしており、筆者も少しですが、直接話を聞くことができたのでご紹介いたします。

スターシップの配送ロボット①スターシップの配送ロボット②スターシップの配送ロボット③

写真1:スターシップの配送ロボット 同社プレスキットより

このロボットは、主にネットスーパー(リアル店舗の宅配含む)、レストランの出前、宅配便(ロボットに収納できる小口のもの)のラストマイル配送にターゲットを絞っています。移動距離は約3km四方のエリア内、ロボットの自走時間は往復30分以内を想定しているとのこと。自動運転で重さ10kgまでの荷物を運搬できます。荷物を入れる「ベイ」のサイズは40cm×34cm×33cmとなっています。基本的に歩道(サイドウォーク)を走行し、複数搭載されたセンサーにより段差、信号、障害物を見極め、自動的に止まったり、人に道を譲ったりします。移動の精度は1cm単位です。ロボットはコントロールセンターから常時監視されており、必要に応じて自動走行からセンターによる遠隔操作に切り替えることが可能になっています。スペック上の最高速度は時速16kmですが、安全のため時速6kmで走行するように設定されているそうです。実際に使用、たとえば近所のネットスーパーに配達を依頼する場合は、以下のような流れになります。

① ユーザーがオンラインでオーダ ー&配達時間の指定
② 配達時間に合わせて店側で準備
③ 準備が完了し、発送の時間になるとユーザーにオンラインで連絡
④ ロボットが自走で配達先へ
⑤ 受取人のユーザーがスマートフォンを操作し蓋をあけて受領
⑥ ロボットが勝手に自走して基地に戻る

 

◆スターシップについて

この独創的な発想を持ち開発を進めているスターシップは、2014年にエストニアで創業され、今も開発拠点をエストニアに置くベンチャー企業です(ビジネス関連の本拠地は英国・ロンドン)。「エストニアって?どこ?」と思われる方も多いのではないでしょうか?旧ソ連と隣接する、バルト三国の一番北に位置する国で、実は世界最強のIT先進国家だったりします。

エストニアの場所

図:エストニアの場所 グーグルマップより日通総研作成

スターシップは、2000年代前半にインターネット業界を驚かせた無料ネット通話ソフト「スカイプ(Skype)」を共同開発したプログラマーであり、その後いくつものベンチャーを立ち上げた起業家のAhti Heinla氏が設立した会社です。彼は2013年に、「火星を走行して土壌サンプルを持って帰るロボットの開発」というNASAのコンテストに参加していたらしいのですが、その技術が「物流のラストマイル配送に使える」とひらめいてスターシップを立ち上げたそうです。いやはや、凄い発想の持ち主ですね~、凡人の筆者ではとても思い付きません…。しかし、業界の固定概念を壊して新しい息吹を吹き込むのは、やはり外部の人なのだと痛感しました。

 ラストマイル配送は人からロボットへ②

世界のIoT化動向とロジスティクス

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