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ビジネストレンドに追随したロジスティクスのあるべき姿を考える

ビジネストレンドに追随したロジスティクスのあるべき姿を考える

今、時代はイノベーションから“より具現化されたトランスフォーメーション実行の概念”へと変化しています。イノベーションの在り方や向かうべき方向、あるべきロジスティクスとの関連性について、レポートします。

 

イノベーションからトランスフォーメーション実行の時代へ!

技術革新(イノベーション)という言葉は一見素晴らしい言葉に聞こえますが、一瞬にして陳腐化してしまうエッセンスであるように感じます。たしかに今、イノベーションブームの真っ只中にいる現状ですが、実はイノベーションという言葉自体、10年以上も前から多くの企業で使われてきています。一方で、イノベーションを実行に移し実現させている企業はほんの一握りです。その特徴としてベンチャーイズムの強い会社が多いように思います。特に零細企業でありながらも、アントレプレナーシップ(起業家志向)のマインドを持つ人材が集合した会社は、成功を収めているケースが多いと聞きます。その理由は、夢を叶えるため、未来のビッグピクチャーを想像し、イノベーション実現に向かってひたすら走り続けることをモチベーションにしているからだと言われています。裏を返せば大企業に所属し、雇用の安定が保証されている人達に、「イノベーションを巻き起こせ!!」と号令をかけても、ベンチャー企業の人達に比べるとマインド面で難しい事だと感じるのは私だけでしょうか。
私は現在、海外・国内における物流に関連するベンチャー企業とその企業が開発し保有する先端技術のリサーチ・コンサルティング、そしてその市場についての分析と考察を実施しているのですが、イノベーションは企業が「スローガン」や「コンセプト」として用いるものであって、実際にはイノベーションから“より具現化されたトランスフォーメーション実行の概念”へと変わってきていると思うのです。 「失敗と実験なしにイノベーションは実現しない!イノベーションは日進月歩で変化を繰り返す!未来はイノベーションからトランスフォーメーション<変化へ追随>)へ!」
逆に皆様がどう感じていらっしゃるのか気になるところですが…。

 

トランスフォーメーション実現で企業文化や風土、組織が変わる!

近年、多くの企業でサービスやソリューションのラインナップが増え、人々の生活は豊かになりました。一方で変化のスピードに対応しきれず疲弊している企業も多く存在します。 日本の大企業の多くは高度成長期の成功体験から抜け出せず、世界がどう変化しているのか、他社が何をしているのかを知らないまま、現在に至っているケースが多いように感じます。製造業、小売業もさることながら、物流業においても同様です。いつの間にか中国やインドなどが勢いを増し、日本は世界最高峰のレベルではなくなってしまったような気がします。

企業を成長させるために一番大切なのはカルチャーであり、従業員一人ひとりが自立して正しいことができる文化、思考停止にならずに頑張りを継続できる文化が必要であると感じます。そうすることで、おのずと正しい戦略や戦術が生まれ、組織能力は高まります。しかし、今日の企業の大部分がいつの間にか非活性化状態、硬直化現象に陥ってしまった感があります。ここから抜け出すには、従業員を活性化させ、柔軟な状態に持っていく必要があります。

それを具現化させるには、先端テクノロジーをツール(手段)として担ぎ、イノベーションを巻き起こして企業カルチャー自体をトランスフォーメーションすることが必要であると思料します。 然るに、非活性化状態のカルチャーから脱却することで、「風通しの良い強い会社になる」ことができると思うのです。 誰もがオープンに意見を交わし正しいことを考え実行し、市場の前線に出て世の中の変化を俊敏に感じ取り、最短距離でお客様に価値を届け、従業員の働き甲斐・生き甲斐を大事にする組織であればこそ、ディファクト・ベスト・カンパニー(最良の企業)と呼べるに値するのではないでしょうか。サプライチェーンやロジスティクス、物流の領域で、以上のような取り組みがなされれば、必然的にビジネストレンドに追随した「あるべき姿」が創造できるのではないでしょうか。

図1:「風通しの良い強い会社」「組織および従業員の活性化」に伴う、あるべき姿へ向かうためのトランスフォーメーション実行要因

出所:NEWS PICKSより(パナソニック㈱ 代表取締役専務執行役員 樋口氏の講話から抜粋)

 

社会貢献型ビジネスへの参入に伴うプラットフォームの確立!

今後、環境の変化に対応ができる会社が生き残っていくだろうと言われています。個々の企業発展のみの施策ではなく、社会(市場)に直接貢献、寄与ができる企業が信頼、信用性が増していくと思います。このような企業の方が強く生き残っていける可能性を秘めています。この先の社会は更なる変化が予測され、私たちはその変化に合わせて、企業のオペレーション力の維持と向上に貢献するソリューションやテクノロジーを構築する必要があります。そして、それを提供し持続可能な社会に対応していかなければなりません。

最近のビジネストレンドとして、社会貢献型事業というビジネスモデルに高い関心が寄せられています。社会貢献に関連したキーワードとしては、例えば、福祉、医療、CO2削減、渋滞緩和、労働環境改善などがあります。社会貢献できるビジネスに参入し、企業にとって社会貢献ビジネスを事業として成立させるには、イノベーションを先行、標榜するということよりも、先ずは企業として社会的に信用、信頼を得ることが優先されるべきだと思います。

現在、少子高齢化に伴う人口減少が大きな課題です。それは、ビジネスの大きな障壁となり得ます。また、少子高齢化に伴う労働力不足に起因した問題をいくら提起したところで、具体的且つ具現化された施策がないまま、イノベーションのみを掲げ、進めたとしても形ばかりが先行し効果が出せないのが現実です。同時に、信用ある地位を企業として確立しなければ、社会貢献型ビジネスの領域には参入ができないと思っています。然るに、サプライチェーンやロジスティクスの分野が、社会貢献ビジネスにどう絡んでいくのか、どのような方法で寄与していくのかが、今後大きく影響してくるものと考えられます。それにはやはり、それに対応ができる業務面のプラットフォームが必要だと感じます。これは、物流専門業者だけではなく、製造業も然り、小売業も然り、卸売業も然りであると考えます。

 

個別経営戦略から社会貢献のための連合型ビジネス戦略への転機!競争から協業・共同へ!

「標準化」「自動化」「デジタル化」そして、「環境負荷の軽減化」は今後重要ですが、競争に競争を重ねた結果が引き起こす「価格のダンピング合戦」、品質よりもスピードを重視した結果から生まれる「欠陥製品の市場への流出」が脅威、リスクとなり得るので、先ずはそれらを防止することを考えなければならないと思います。つまり、企業のブランド力を争い、競うことが重要視されている中、逆に同業他社(ライバル企業)同士が、連携し合い、協業と共同を提唱したアライアンスビジネスを推進させ、シナジー(相乗効果)を促進し、社会へ貢献するビジネスモデルを構築することが急務であるのではないかと考えます。

「自社のノウハウや技術をオープンにしたくない、競合先に知られたくない」や「結局は強い大手企業がノウハウや技術を独占し、中小企業、零細企業を食ってしまうのでは?」など、企業同士で同業他社に対して、情報流出に強い危機感を持ち、疑心暗鬼に陥っていることが最大の阻害要因となっているとも考えられます。そもそも「ウチの会社は大手に淘汰される…」と考えている中小企業も少なくありません。買い手となる大手企業の利権のみで動くM&Aなどは、個別企業の優位性には繋がるかもしれませんが、真の意味で社会貢献には繋がってこないと思います。したがって、競争から協業・共同へと思考を変えることで、ノウハウや技術を共存させていければ、新しいビジネスモデルが生まれ、それが社会貢献へと繋がっていくのではないでしょうか。個人的な発想ではありますが、ビジネストレンドに追随したロジスティクスのあるべき姿とは、ここで申し上げた、連合型ビジネス戦略の観点から言える競争から協業・共同の事業運営であると思うのですが、皆様はどうのようにお感じになられますか?

<協業・共同化がもたらす成功要因の例>

  • 医療品、医療機器などの物流共同化については、サプライチェーンの最たる社会貢献ビジネスモデルであると想像(生命を守る、維持する。健康を促進させる。)
  • 災害が起きても安定供給ができるマルチ拠点での運営(危険を回避する。不安をなくす。安全・安心を保つ。)

図2:社会貢献のための連合型ビジネス戦略スキーム(ロジスティクス版)

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この記事の著者

◆出身地:愛知県名古屋市 ◆血液型:A型 ◆趣味:温泉巡り・グルメ・ドライブ・散歩・ルアーフィッシング
1993年 三重中京大学 政治経済学部 政治経済学科 卒業
【得意分野】・サプライチェーン戦略 ・ロジスティクス構想策定 ・ITソリューションのグランドデザイン

 近年、温泉へ頻繁に行くようになりました。箱根、有馬、下呂、草津、城崎、酸ヶ湯などに足を運び、ついでにグルメも満喫しての小旅行が増えました。普段は実務(仕事)で頭を使う分、温泉でリフレッシュすることが今は至宝の時間です。以前はルアーフィッシング(湖)もかなり盛んにやっていたのですが、温泉での寛ぎをおぼえてしまってからは、もっぱら湯に浸かる時間が増えてしまいました。温泉やグルメ巡りで英気を養うことで、得意の「戦略コンサルティング」に更に磨きをかけて、プロジェクトの成功は勿論、新しいビジネスを創造し、価値ある案件を創出できるように、日々精進してまいります。小生は、当社入社以前は物流会社と外資系コンサルティング会社に所属しておりました。そこで培った実践の経験と知見を踏まえたお手伝い、ご支援ができるかと存じますので、お気軽にご相談くださいませ。

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