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輸送容器として見る紙袋

輸送容器として見る紙袋

1 紙袋とは

JIS-Z-0102-2004(クラフト紙袋-用語及び種類)で紙袋とは「少なくとも一端部を封かんした1層以上の平らなチューブ状の紙の層からなり、充填及び流通段階で要求される性能を付与するために他のフレキシブル材料を組み合わせることができる紙袋。」としています。なおこの規格は、クラフト紙を用いて製造した1層及び多層の紙袋について規定したもので、小売業のための紙袋(つまり商店で使用される小袋と呼ばれるもの。)は含んでいません。つまり紙袋はクラフト紙を用いて作られる紙器なのです。この「クラフト紙」というのが紙袋の特徴であります。

2 紙袋の種類

紙袋は大きく分けて工業用と食品用とがあります。JISでは工業用紙袋としてJIS-Z-1505に「クラフト紙袋-セメント用」が制定されており、食品用紙袋としてはJIS-Z-1509に「クラフト紙袋-ばれいしょでんぷん用」として制定されています。この2種には構造等で次の様な差があります。

セメント用では紙袋の層数は2~6層としています。種類は1種~4種があり、各種に更に細かく分類がありますが、詳細はJISを確認して下さい。充てん質量では1種が25kg、2種が40kg、3種が50kg(以上までがひだバルブ付きミシン縫い袋)で、4種が25kg(ひだなしバルブ付き底ばり袋)となっています。

これに対し、ばれいしょでんぷん用では構造等でB-1、B-3、C-2、D-2の4種あり、クラフト紙の層数としてはB-1、B-3では3層、C-2、D-2は4層としています。充てん質量はいずれも25kgとしています。

また工業用は危険物の輸送に使用されることもあります。この場合、国際間輸送においてはUNマーク(UN規格:国連勧告)認証を得る必要があり、JISより過酷な強度試験に合格した紙袋でなければ輸送に使用できません。国内輸送においても船舶、航空輸送では国際輸送規格に準じており、陸送においても危険物輸送に使用する紙袋にはUNマーク認証を得たものの使用することを求めています。

3 紙袋の強度と同じ紙器である段ボール

紙袋と同じ紙器には段ボールがあります。紙袋はクラフト紙が、構造の原紙であるため、基本的な強度はあくまでクラフト紙が基準です。これに対し段ボールは同じ紙、クラフト紙が原材料ではありますが、段ボール用クラフト紙として紙袋のクラフト紙と別に規格が制定されています。

紙袋の原材料は紙袋クラフト紙=JIS-P-3401に規定するクラフト紙に適合したものとしています。段ボールでは、段ボール=JIS-P-3902(段ボール用ライナー)とJIS-P-3904(段ボール用中しん原紙)で規定されており、段ボールのライナーとは段ボール箱表面の紙で、中しんとは段ボールの芯材で波状になっているものです。このように同じ紙器でも紙自体は紙袋と段ボールでは異なっており、同じものではありません。危険物輸送に使用する紙袋では段ボールより強いクラフト紙を使用しますが、それ以外は段ボール用クラフト紙より弱いクラフト紙にて紙袋は造られることを留意する必要があります。

4 紙袋の取扱いについて

段ボールを含め、紙器は一般的に印刷に弱いものです。当然、紙袋も同様です。以下に紙袋の取扱う際に注意すべき点を挙げます。

図1 紙袋への印刷で悪い例の概要(点線は折り目線)
図1 紙袋への印刷で悪い例の概要(点線は折り目線)

よく言われる事故として、紙袋の縫製封かん部、つまり開口部で、通称「耳」と呼ばれる箇所を荷役時に引っ張ることによる破れがあります。この部分は紙袋で最も弱い箇所であるため、荷役で引っ張る行為は厳禁となっています。

図1に示すところで青抜き四角は印刷を示し、紙袋への印刷として悪い例です。

①紙袋胴部に大きい印刷

印刷は紙に様々な影響を与えてしまいます。印刷部が大きいと、強度を維持したい胴部の強度劣化を加速させます。これは段ボール箱でも同じで、箱胴部の中央に印刷があると耐圧強度が10~15%劣化すると言われており、胴部中央には印刷が無いか小さいことが望ましいとされます。

②側面部に大きい印刷

特に折り目を跨ぐ大きな印刷では紙自体折り目によっても劣化が発生し、その上に印刷の劣化を加速させるという2重の破れ要因を発生させています。

③胴部の皺より

紙袋を両側から抱えて荷役すると胴部中央に皺がよってきます。この作業自体に問題はありませんが、①にあるように胴部に大きな印刷があり、そこに皺がよってしまうと紙の劣化が加速します。この部分から破れが発生していくことになります。

以上のように紙袋の視覚的デザインが紙袋の破れ事故を引き起こす原因になりうることを十分に理解する必要があります。胴部への印刷は必要最小限にするデザインや側面部の折り目に印刷が掛からないデザインを考案することが重要になります。

この他に、紙袋は当然湿気に弱いため、パレットからのオーバーハングした状態で保管するもの、並びに製品充填から3か月以上の保管が想定されるものなどは、紙袋の強度を向上させておくことや層数を多くするなどの対応をすべきであり、出荷時に既に紙袋の強度が輸送に耐えられない状態にしないことが紙袋の破れ事故対策には重要な要素になります。

図2 紙袋での保管における悪い例
図2 紙袋での保管における悪い例

図3 紙袋への印刷で良い例の概要(点線は折り目線・青四角は印刷部)
図3 紙袋への印刷で良い例の概要(点線は折り目線・青四角は印刷部)

紙袋に施す印刷は図3のように大きく印刷面を取らないようし、必要最小限の情報を分けてデザインすることが紙の強度を維持するのに重要になります。

また側面においても折り目に掛かる印刷は避け、折り目に掛からないよう印刷をデザインすることが破れ事故軽減に向けた対策になるものです。これらの紙袋の特性を理解し、印刷デザインや選定する紙袋を考慮することによって、輸送中の破れ事故軽減に繋げるようにしましょう。

(この記事は2022年6月9日の情報をもとに書かれました。)

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この記事の著者

◆出身地:東京都大田区 ◆血液型:O 型 ◆趣味:自動車レース、カメラ、音楽
1986 年 東海大学 第二工学部 卒業
【得意分野】 ・輸送環境調査 ・包装材評価、試験

2010 年から包装、輸送試験に関する国際規格対応委員会に参加したり、2013 年に JIS の包装試験の改定委員になったりと、規格原案の作成に携わって早6年が経過しました。これらの規格は、包装の業界だけでなく、包装を使用するメーカーにも不利益が生じないようにすることが重要です。当然、物理的、化学的に正しい裏付けが必要となるため、そこを理解し、解決することが大変です。
昨年は ISO780 規格の改定委員になり、「ケアマーク」の見直しを行いました。「ケアマーク」は、段ボールなどに貼る取扱注意の指示シールのことです。実は、表記された「画の線の太さ」に意味があったり、「○や×は左右対称でなければならない」などのルールがあり、初めて知ることも多い作業でした。現在も JIS が2規格、ISO が2規格の改定中。業界の不利益にならないように留意しながら進めております。

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