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どうなる日本の物流?~第5回 英国の道路輸送規制の実態を知ろう!

どうなる日本の物流?~第5回 英国の道路輸送規制の実態を知ろう!

本シリーズの第2回「米国の運送事業の実態」で、日本と同じ島国であり、国土のより狭い英国でも、幹線輸送ではトレーラー輸送が主流の時代に入っていると申し上げました。しかしながら、その際にご披露したトレーラーの写真だけでは、信じられないとおっしゃる方も多いでしょう。
そこで今回は、英国の道路輸送規制の実態がどうなっているか、述べてみたいと思います。

道路輸送規制の日英比較

まずは、英国と日本の道路輸送規制の概要を以下の通り一表にまとめてみましたので、ご覧ください。

英国と日本の道路輸送規制の概要

一目見て分かる通り、制限値全てについて英国の数値が日本の数値を上回っています。車両全幅こそ2%ほどの違いに納まっていますが、車両全長については、英国の制限値が日本の制限値を55%も上回っています。更に車両総重量については、英国では車軸を6軸まで増やせば何と44トンまで全道路で通行が認められているのに対し、日本では自動車の最前部の車軸中心から最後部の車軸中心までの水平距離により、重量指定道路では25トンから27トンまでの範囲で、高速道路では25トンから36トンまでの範囲で、それぞれ重量制限が設定されていますが、それ以外の道路では20トンまでしか通行できません。

車両全高に至っては、英国では制限は設けられていません。因みに蛇足かも知れませんが、日本の高さ指定道路の高さ制限の4.10メートルは換算すると13フィート6インチになりますが、これは9フィート6インチの国際海上コンテナ、所謂ハイキューブ・コンテナをシャーシに乗せた時の高さとほぼ一致します。

そして、更に注目しなければならないのは、日本においてはこれら制限値を超える重量品・闊大品の輸送については、必ず通行許可申請を行わなければならないのに対し、英国においてはこれら制限値を超える場合であっても、一定の範囲内に納まっている限り通行許可申請を行う必要はなく、通行届出を行えば良いことになっている点でしょう。

通行事前届出制度の概要

あまり知られていませんが、英国の重量品や闊大品の輸送は、基本的に「通知と保障の原則」(The Principle of Notification and Indemnification)という原則に基づいて運用されています。たとえ重量やサイズが先述の道路通行制限をオーバーしていても、一定範囲内に納まっていれば、事前に関係各行政機関に届出を行い、それら行政機関から特段の異論が出てこない限り、そのまま輸送を実施しても良いことになっているのです。

届出の書式には通知書(Notice)と保障書(Indemnity)の2 種類があり、前者は警察署へ、後者は道路および橋梁管理者へそれぞれ提出することになっています。どのような場合にどちらの書式で届出を行うべきかについては、基本的に以下の通りとなっています。

届出の書式

対象となる重量品や闊大品は分割不可能であることが前提になってはいますが、複数結束された長物鋼材等については、重量が上述の制限内である限り認められています。

通知(Notification)の目的は、警察署に対し重量品・闊大品が通行することを知らしめ、該当するルート上で工事・イベント等が行われている等、通行不可能な状態でないことを確認することにあると言われています。一方、保障(Indemnification)の目的は、輸送途上において万が一道路や橋梁等の物流インフラに損害を与えた場合には、輸送業者がその復旧に関わる費用を負担する旨を橋梁および道路管理者に宣言し保証することにあるとされています。大きさや重さが一定の範囲内に納まっていればうるさいことは言わないが、後は全て自己責任だということなのです。

そして、車両総重量150 トンを超える重量品輸送の場合、車両全幅5 メートル、車両全長30 メートルを超える超闊大品輸送の場合になって初めて、別途通行許可申請が必要になるのです。つまり、大半の重量品・闊大品輸送は、届出だけで実施されているということです。

まとめ

日本と同じ島国であり、しかも日本より狭い島国である英国の道路輸送規制が、日本の道路輸送規制とはかなり異なっているということがご理解頂けたでしょうか?Brexitで大揺れに揺れている英国ですが、このように注目すべき点もあることも憶えて置いた方が良いかも知れません。

この記事の著者

◆出身地:東京都中野区 ◆血液型:B型 ◆趣味:歌唱・楽器演奏・楽器蒐集・ポタリング・ウォーキング
1978 年 中央大学 法学部 政治学科 卒業
【得意分野】 複合輸送・ディストリビューションを中心とするグローバルロジスティクス

1983 年以来交互に日本とアメリカに住み、在米期間は通算で 17 年近くなりました。2008 年に帰国してからは、日通総合研究所で調査・研究・コンサルティング部門のマネジメントに従事しつつ、海外調査の時には日本と海外の輸送や物流の違いを見つけるように心がけています。とくに最近では、独自の発展を遂げてきた日本の輸送・物流のグローバル化の行く末に注目しています。日本では見られない輸送機器や荷役機器が動いているところを見ることと、各国各地の地元のローカルフードを食べることが何よりも楽しみです。

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