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【物流効率化】物流活動を考慮した建築物の設計・運用について

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物流活動を考慮しない中で都市が形作られてきた結果、荷待ち時間の要因にもなり、物流事業者の負担となっています。物流を考慮した建築物の設計・運用を行うことは、建築物における物流の効率化により、労働者不足の解消や、労働環境の改善だけでなく、テナント事業者の利便性や経済性の向上等、大きなメリットも得られます。そこで、今回は都市内物流の課題について考えてみたいと思います。

都市内物流の課題

繁華街やオフィスビル街などを歩いていると、トラックが路上に駐車し、ドライバーが路上の狭いスペースで荷捌きし、台車を使って通行人の間をくぐり抜けながら、納品先の建物内へ搬送している姿がたびたびみられます。この多くは、トラックが建物の駐車場に入れないため、路上で荷卸しを行っていることによるものです。

例えば建物の駐車場の高さが不足しているため、車高の高い貨物車両が進入できない場合や、建物内の貨物車の駐車マスが不足していることなどが要因となっています。それによりドライバーは、納品先に届けるために、建物周辺で路上駐車し、建物まで搬送するか、駐車場が空くのを待つしかなく、ドライバーの大きな負担になっているだけでなく、物流活動の効率化を妨げています。

また、建築物の周辺についても、路上駐車による道路交通への影響や、歩行者、利用客等への安全性への影響が生じています。景観への支障、排ガス・騒音の発生等も問題と考えられます。これも今まで、物流活動を考慮しない中で都市に建物が建設されてきた結果といえるでしょう。

大規模建築物における物流の課題

現在、大規模な建築物については、各自治体で駐車場施設の必要な有効高や、貨物車専用の駐車マス数の設置が義務付けられています。ただし、東京都では、この貨物車用の駐車場附置義務は、平成14年の改正時に導入されたものです。従って改正前の建物については、乗用車中心の設計で、駐車場の高さや、駐車マス、荷捌き用のスペース等、貨物車に配慮されていないままのものとなっています。

多くの建物では、ドライバーは納品先である各階のテナントまで直接納品を行っています。大規模な建物ほど、フロア間の縦の移動や各フロアの横の移動に多くの時間を要します。特に商業施設における納品車は、施設が開店する前の8時~9時に集中しますが、このピーク時間には、駐車マスが一杯になり、トラックの順番待ちが発生するという悪循環となってしまいます。

時間帯別納品件数のイメージ図
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(出所)国土交通省物流政策課「物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~」平成29年3月

これ以外にも物流が考慮されていない施設では、貨物用エレベータが少ないこと、人貨兼用エレベータでは特に利用客の混雑時には荷物を乗せられないことなどの非効率性や、利用客の動線と荷物の動線とが重なることで、台車と利用客がぶつかるなど安全性にも問題が生じています。これらの問題を解消するには、建築物を設計する際に、物流を十分に考慮しておくことが必要です。

このような施設内の物流問題への対応策として、近年の大規模複合施設の中には、館内共同配送が導入されているケースがみられます。例えば、東京ミッドタウンでは、年間の荷物の取り扱いは100万個以上、物流車両は25万台以上に上ります。そこで、館内物流事業者が複数の納品先の荷物をまとめて荷受けし、館内へ搬送することで効率化を図っています。ドライバーの各階への荷物配送は不要となり、車両の平均滞在時間も短縮されます。このような運用による改善事例もありますが、まだまだ普及は進んでいない状況です。

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(出所)「物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~[概要]」

物流を考慮した建築物の設計・運用についての手引きの活用

このような問題や対応策を踏まえ、国土交通省では有識者、関係団体、関係省庁からなる検討を行い、平成29年3月に「物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~」をとりまとめています。

手引きでは、建築物へのスムーズな貨物の搬入や屋内移動の確保等を図るとともに、交通や環境へ与える影響を抑制し、良好な景観形成などまちづくりの調和等の効果を期待し、今後の取組に向けたヒントとして、とりまとめられています。具体的には、駐車場の有効高、クリアランス、緩和勾配、適正な駐車マス数・駐車マスの大きさ・荷捌きスペースの大きさ、共同配送の受付・荷受場の設置の必要性、建築物における物流の円滑化に向けた取組等を紹介しています。

「物流を考慮しても建物の価値があがるわけではない」「建築主やテナントには関係ない」といった意見もあるかと思います。しかし一方では、近年のドライバー不足、通販事業拡大に伴う宅配便の急増等により、物流事業者の負担が増していることも事実です。その表れのひとつが、ニュースでも大きく取り上げられている大手宅配事業者の運賃の値上げの動きです。宅配に限らず物流の取引条件の見直しを求められる顧客の話題も出てきています。当たり前に手元に届けられていた商品が、今までのようには届かなくなる時期がくるのではないか・・・社会全体が物流の重要性を認識しはじめ、対応の必要性も考えはじめたのではないでしょうか。

まとめ

私は、物流を考慮した建築物の設計・運用を行うことは、建築物における物流の効率化により、労働者不足の解消や、ドライバーの集配業務の軽労化などの労働環境の改善だけでなく、テナント事業者の利便性や経済性の向上ともに、周辺の交通渋滞の解消やまちの魅力を高め、建物のイメージを良くする等、大きなメリットも得られると考えています。

国土交通省が作成した「手引き」を、建築物の開発・設計・管理に携わる方、建築主や物流事業者だけでなく、テナント、地方自治体の関係者等、多くの方々がご活用いただき、誰にとっても社会全体がより良い環境になることを期待しています。

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この記事の著者

◆出身地:千葉県館山市 ◆血液型:A 型 ◆趣味:旅行(たまに)・カメラ(少し)・麺巡り(結構)・ゴルフ(最近)
2005 年 東洋大学 大学院 工学研究科建築学専攻 卒業
【得意分野】 ・トラック輸送、鉄道輸送、緊急物資輸送、インターモーダル輸送に関する物流調査

近年弊社では、国際物流に関する調査案件が増え、今回、私も微力ながらメキシコ~アメリカの北米調査に参加しました。やはり海外へ行くと、日本とは異なる文化や慣習に多く気づかされ、大変刺激となります。学生時代は、日本と異なる世界を見たいと、一生懸命お金を貯めて、海外へ一人旅に出たものです。
今回のメキシコを中心とした北米調査でとても刺激的だったのは、道路では長大な 53ft のダブルストレーラーが多く走り、鉄道では 53ft コンテナが主流となっていたことを見たことでしょうか。メキシコもアメリカの影響を受けて変化しています。世界各国でもこのように輸送効率化を求め、今後ますます輸送単位は大型化していくのでしょうか。その時、日本はどのように対応していかなければならなくなるのでしょう?
実体験による驚きも加わり、今では世界の動向から目が離せません。今後も海外調査案件を通して、皆様に刺激となるお話しを提供できたら、と思っています。

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