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ドライバー不足問題の改善には、荷主企業の理解と協力が必要です。

ドライバー不足問題の改善には、荷主企業の理解と協力が必要です。

“物流危機”や“物流クライシス”としてマスコミでも報じられている物流現場の労働力不足問題。既に厳しい条件の輸送から運送事業者が撤退する実態が出ているように荷主企業にとっても極めて大きな問題です。しかし、未だこの問題を“一時的な状況”や“運送事業者の問題”と捉えている荷主企業もみられます。荷主企業から「ドライバー不足てホントなの?客観的に示してくれないと・・・」と言われたという声も聞きました。その客観的なデータとして、自動車運転者の有効求人倍率が年々高まり、直近では全国平均で「3」を超える状況になっています。3人募集しても1人しか雇用できていない状況なのです。

トラックドライバー不足の主な原因は、全産業と比較して低賃金・長時間労働という厳しい労働条件であること、まだ多くの現場で手作業による貨物の積み下ろし作業があることなどにあります。つまりトラックドライバーの労働条件の改善が必須ということになります。

政府もこの問題によって、我が国の経済活動、経済政策(アベノミクス)に重大な影響を及ぼすことを大きく懸念しており、過去にはなかったレベルで省庁横断による「物流現場の生産性向上」やそれに資する「自動車運転者の働き方改革」に積極的な取り組みを行っています。それも、トラックドライバーの労働環境の改善なしに、経済活動の維持と発展はありえないと位置づけているからです。

その労働条件の改善は、物流事業者の自助努力が第一義ですが、荷主企業のオーダーに応じて貨物を運送しているトラック輸送の現場では、荷主企業(発荷主・着荷主とも)の理解と協力なくして改善を進めることが難しいことも事実です。

例えば手待ち時間。午前8時に時間指定され配達しても、順番待ちのため荷卸しできたのが午前10時といったケース。荷主側で時間通り荷卸しできる準備を整えてもらわない限り手待ち時間は削減できません。例えば手荷役。パレットを使っての積み込みや荷卸しができるかどうかは、発荷主と着荷主の間でパレット輸送の条件を整えてもらわないとできません。仮に発荷主と着荷主で使用するパレットの大きさが違っていれば、積み替えの作業が発生します。パレットの大きさを統一することは運送事業者にはできません。このような例からも、荷主側の理解と協力が必要なことが理解いただけるのではないでしょうか。

実は政府からも「荷主側の協力が必要」との発信がなされています。この11月6日に、厚生労働省、国土交通省、全日本トラック協会から「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」が提示されました。(国土交通省記者発表 http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000160.html )

このガイドラインでは、まず ①「取引環境と長時間労働の改善に向けた取組みの進め方」を「ステップ1~7」として提示し、②実際の現場改善の事例をもとに「改善に向けた取組みの類型と対応」について紹介する、という2段階に分けて記述しています。

このガイドラインで示している改善のためのステップでは、まず「ステップ1:荷主とトラック運送事業者の双方で検討の場を設ける」と「ステップ2:労働時間、特に荷待ち時間や荷役時間の実態を把握する」からスタートしています。つまり、「問題を共有化する場」を設け、「現場の見える化」が重要との位置づけです。

繰り返しになりますが、このガイドラインでは、ドライバーの労働条件のひとつである労働時間の短縮には、運送事業者だけの努力では難しいと指摘しています。これからの輸送力の確保に向けて、荷主企業の方々にもぜひ一読いただくべきかと思います。

なお、このブログの次の機会には、ガイドラインでも求められている「輸送の現場の見える化」に役立つツールとして、弊社が2018年10月1日にリリースした「LINE」を利用した運行管理ツール『どらたん』をご紹介したいと思います。

ガイドライン

IoTツールろじたんを導入したのはどんな物流企業か?

この記事の著者

◆出身地:東京都板橋区 ◆血液型:B 型 ◆趣味:ゴルフ・写真・ジャイアンツ
1988 年 日本大学 理工学部 卒業
【得意分野】・トラック輸送関係全般 ・2024年問題/ドライバー不足問題・都市内物流

かれこれこの仕事をはじめて36年目を迎えています。自分でもよくここまで続けてこられたなと思います。
その時々で担当してきた調査は様々ですが、おかげさまで国内外で数多くの出張を経験しました。
国内では全都道府県を、海外は欧米やアジア諸国で20か国以上も。
その調査地で感じる変化は、大きな意味で「物流の変化」と相まっていることは間違いありません。
出張先では、その地の名物を食すことを楽しみにしています。コロナ禍以降、目当てにしていたお店が閉まっていることが目立ちますが、それでも新しいお店を探しながら「地元メシ」を楽しんでいます。

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