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負荷の大きい荷役作業、これからどうなる?

【Logistics Research】負荷の大きい荷役作業、これからどうなる?

物流では「棚入れ」「ピッキング」「検品」「輸送」等、様々な業務が発生しますが、その中でも積替えや積込みなどの「手荷役作業」は、作業者にとって最も過酷な作業です。
車両への積卸しが手荷役の場合、トラックドライバーもそのような作業を嫌うことが多いといわれています。著しく高齢化が進む物流業界では、そのうち手荷役をする人がいなくなってしまうかもしれません。

人間の身体活動効率は、良好な条件で30%といわれています。
つまり「機械的な仕事に変換されない熱」や、「筋肉の静的活動」に70%のエネルギーが使われているのです。作業負荷を軽減させるには、まずこの静的活動のエネルギーを下げることが非常に重要となります。静的活動のエネルギーの最も代表的なものが、荷役作業で発生する「物を支え持つ」という動作です。

荷物を支え持つためには、手腕部の筋力はもちろんですが、背腰部にかかる力も非常に大きくなります。
参考として、下図に持ち上げ姿勢ごとの椎間板にかかる負荷を示します。腰を曲げて支え持つDの姿勢で、負荷が大きいことがわかります。

図 重量物の扱い姿勢と椎間板内圧比

特にこのDの姿勢で作業を行うことは労災の原因にもなり、Cの姿勢で行うとしても、長時間や多頻度作業、さらにはひねりなどの動作も加わると、けがによるリスクが大きくなります。誰もそんな作業はしたくありません。

荷役をできる限り発生させないようにする方法として、ユニットロード化があります。ユニットロードとは、荷物を荷役や輸送に適したまとまり・単位にしたもので、パレット貨物やコンテナ貨物がその代表的なものです。
ユニットロード化により、フォークリフトやクレーン等の機械で荷役ができるようになるため、作業者への負荷は非常に小さくなります。ただし、各物流拠点で荷役機器が必要となる点や、パレットやコンテナなどのユニット化資機材の回収管理など、以前から様々な問題が指摘されており、なかなか解決できません。
また、ほとんどの場合、最終消費者には、荷物はユニットではなく単体で届けられるため、ユニット化された貨物はどこかでブレークする必要があります。

写真左:スーツを着用し腰を曲げて保持
写真右:スーツが稼働し荷物が持ち上がった状態

そこで最近ではもう一つの方法として、ロボットスーツを活用した荷役が検討されています。複数社からそうした機器が販売、もしくはレンタルされていますが、基本的には背腰部の「曲げ・伸ばし」を補助する構造となっており、腰部にかかる負荷を脚部など、身体の他の部分に分散させて荷役するイメージです。

今後はこのようなスーツの補助により、作業負荷軽減が進むことも考えられます。また、荷役作業では継続時間(心拍数の推移などで評価)、荷物の形状(荷物-身体の距離、持ち手位置なども影響)、持ち上げ高さ等、各種要因により作業負荷が大きく異なってきます。
様々な荷物を取り扱わなければならない物流現場では、各要因が複合的に絡み合うため、人間の作業の補助のためには、より高度な技術が必要となってくると思われます。
物流現場における人材確保のためにも、荷役作業を軽減、なくしていくことは、大きな取組み課題となっているのです。

この記事の著者

◆出身地:千葉県市川市 ◆血液型:A型 ◆趣味:MLB 観戦・音楽(ロック)・スポーツカード収集(MLB)・旅行

2005 年 東京都立科学技術大学大学院(現、首都大学東京大学院)工学システム専攻修了 博士(工学)
【得意分野】 ・作業改善/作業効率化 ・物流技術調査 ・企業物流コンサルティング

入社以来、官公庁調査や、企業コンサル、知財業務、運行管理関連業務と、20 年以上に渡ってあらゆる業務に携わり、IEでの学位取得ということもしてきました。海外も含め、最近は新しい技術動向に関する調査に携わることが増えており、改めて日本の技術力もまだまだ捨てたものではないと考えるようになってきています。
趣味では、MLBに興味を持ってゲームを見るようになってから、早30 年強になります(もっぱらTV観戦ですが)。そのころから集め始めたスポーツカードの数も、一時は3万枚を超えるまでになり、家族から置き場がないと叱られ、泣く泣く処分したこともありました。ほかにも、80 年代のRock/Pops を聴くことが大好きで、それがストレス解消にもなっています。

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