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海外引越マーケットに押し寄せるグローバル化の波②

【Global Report】海外引越マーケットに押し寄せるグローバル化の波②

前号で西アフリカから到着した引越荷物の実例を取り上げました。その際に食器などを開梱して収納する作業のことをお話ししましたが、外資系引越会社はこれをメイドサービスと呼んでいます。もちろん追加料金が発生します。ただし、作業してくれるのが女性とは限りません。ちょっと脱線しましたが、話を本題に戻しましょう。

外資系引越マーケットで存在感を増すリロケーション会社

特に外資系引越マーケットでリロケーション会社の存在感が増しています。リロケーション会社とは、引越手配、住宅提供や管理、ヴィザ取得、各国の生活情報提供など、海外勤務者に包括的な生活支援サービスを提供し、さらには海外給与精算などの企業人事部門の事務を請負ったりする会社のことです。この業界でビッグスリーと言われるCartus, Brookfield, SIRVAを始め、米国企業が大きなシェアを占めています。このリロケーションというビジネスモデルが引越会社にとって悩ましい存在になっています。顧客企業にとってリロケーション会社は、海外人事関連業務をワンストップで対応してくれる便利な存在です。しかし、引越会社から見ると、顧客との直接の接点が断ち切られ、しかもリロケーション会社は引越会社からコミッションを取るので収受料金の低下に繋がります。この状況を反映し、前回紹介した大手引越業者の社名からもわかるように、現在では多くの外資系引越業者がリロケーションビジネスを兼業しています。ちなみにAllied PickfordsとSIRVAは同じ企業グループです。
しかし、ここでも別の課題が生じています。リロケーション会社が顧客企業に代わって引越業者の入札を行う例も多く、そんな中で引越業者を自社グループに限定すると、リロケーション部門として大きなハンディを背負ってしまいます。かといって、リロケーション部門にフリーハンドを与えてしまうと、自社の引越ビジネス拡大に貢献してくれないというジレンマを抱えるのです。ある外資系引越会社のCEOに聞いたところ、グループ内リロケーション会社における自社引越のシェアは20%以下とのことでした。

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図:FIDIに加盟している日本の企業
出所:FIDIホームページより作成

過去の事例で、英国系グローバル企業に勤める社員の日本発引越を欧州系引越会社から受託したことがあります。着地はトルコで、着地作業は地元トルコの会社が扱いました。後でわかったのですが、その欧州系引越会社はリロケーション会社から引越作業を受託し、FIDIネットワークを通じ日本とトルコ双方の会社に作業を再委託していたのです。しかも、リロケーション会社はアジア系引越会社の一部門であり、欧州系引越会社も傘下にリロケーション会社を持っているのです。リロケーションというビジネスモデルとどのように向き合っていくのかは、海外引越会社共通の課題です。

外資系海外引越マーケットではすでにグローバル化の荒波が押し寄せており、リロケーション会社も含めたM&Aが活発に行われています。今のところ、これらの動きは日系マーケットを隔てる垣根の向こうで起こっていることですが、いずれ垣根が低くなったら日系海外引越会社もグローバル化の荒波に揉まれることは必定です。

この記事の著者

◆出身地:兵庫県姫路市 ◆血液型:AB 型 ◆趣味:読書(西洋・オリエントの歴史や小説など)
音楽鑑賞(バロック音楽、アラブ音楽)

1979 年 東京大学 文学部 西洋史学科 卒業 専攻は紀元前 5 世紀のギリシャ史
【得意分野】 ・経営戦略 ・国際物流 ・海外引越 ・地方港湾

1983 年から 1 年半インドの Bombay(現 Mumbai)に出張していた当時、毎日シャワーのように浴びていたのがインド英語です。アメリカ人やイギリス人がしゃべる英語についていけない自分が、インド人となら英語で(しかもお互い相当な早口で)応酬できるようになったのだから面白いものです。このインド英語、基本は British ですが一部に特有の単語や表現があります。一例では 1 千万をクロア(crore)、10 万をラク(lakh または lac)と言い、1,00,00,000 と表記します。慣れると 120 万を one million two hundred thousand と言う代わりに twelvelakh で済ませてしまうインド英語の方が断然便利に感じられたものです。今では錆びついてしまった英語で舌がもつれそうになりながら one hundred thousand…と発音する度に当時のことが懐かしく思い出されます。

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