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輸送力=ドライバー確保に向けた荷主企業の動き

Logistics Report輸送力=ドライバー確保に向けた荷主企業の動き

トラック運送業界の喫緊の課題が「ドライバー不足」と言われてからもう数年が経ちますが、物流の現場では「ドライバーは募集しても集まらない」状況が継続しています。
未だ物流部門や一般消費者からは「本当に不足しているのか」との声を耳にしますが、それは運送事業者のドライバーが休日出勤や残業をしたり、事務職、管理職までもが運転業務にあたるなど、事業者とドライバーの頑張りによって輸送体制が維持されていることによるものです。しかしその結果、そもそも他産業に比べて長時間労働であるドライバーの労働時間(表を参照)が、更に長くなってしまっています。この頑張りにも自ずと限界があり、早急に「現在の輸送」「現在のドライバーの仕事」の改善、すなわち「物流の効率化」が必要と考えます。

道路貨物運送業の賃金と労働時間

表:道路貨物運送業の賃金と労働時間
出所:公益社団法人全日本トラック協会
「トラック運送事業に関する賃金・労働時間データ集(平成27年調査版)」平成28年3月
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より日通総研作成

それには運送事業者の自助努力だけでなく、荷主企業の理解と協力が不可欠です。実際に荷主企業の一部では、ドライバー不足によって自社の生産・販売活動に支障をきたさないよう、運送事業者に理解を示している現場が既に出てきています。荷主企業にとっても運んでもらえなければ、商売にならないという死活問題であるからです。そこで、いくつか現場改善の事例をご紹介しましょう。

ある建材メーカーでは、それまで納入先で要請されていた「棚入れ作業」や「先入れ先出し作業」「時間指定」「建設現場納品の発生」を問題視し、付帯作業が発生する納入先に対しては、営業を通じて作業の改善を要望しました。また、時間指定配送先についてもリスト化し、配車計画見直しのため、朝一番納品の顧客を起点に配送コースの組み替えを実施、納入先で手待ち時間が発生した場合には、費用負担を求めるなどの改善策を実施しました。その背景には、納入を依頼する運送事業者に適切な条件を示すことで、確実に納入できる体制を構築するため、そしてそれは最終的に物流のコストダウンにもつながるとの認識を持つに至ったことがあります。

また、別の輸送機器メーカーでは、入出荷ダイヤを一層細かく管理し、トラックの集中の分散化を進め、手待ち時間等の改善を進めています。さらに、納入や出荷担当のドライバーに対してアンケートを実施し、問題点を把握してその改善を図ることに取り組んでいます。その実施例には、「出荷遅れがないように社内会議時間の調整」「屋根が短く雨の日に困るとの指摘から、場所の見直しや屋根の延長を検討」などの細かい改善策まで含まれています。また、荷主側の要因で残業が発生した場合には、その分の料金もきちんと支払っています。そこまで対応する理由として、国内生産を維持するために、輸送力の確保、つまりドライバー不足の解消を大きな目的にしていることが挙げられます。
この他にも、大手化学品メーカー同士での共同配送、食品メーカーによる長距離トラック輸送から鉄道や船舶へのモーダルシフトの推進、あるいは中継輸送の導入といった動きも目立つようになってきました。
物流の効率化を進めるには、荷主側の協力は不可欠です。これを大きなきっかけとして、「ドライバーに優しい物流システム」へと転換が進むことに期待しています。

この記事の著者

◆出身地:東京都板橋区 ◆血液型:B 型 ◆趣味:ゴルフ・ジャイアンツ
1988 年 日本大学 理工学部 卒業
【得意分野】・トラック輸送関係全般 ・都市内物流 ・海外物流事情

かれこれこの仕事をはじめて28年目を迎えています。自分でもよくここまで続けてこられたなと思います。この仕事のおかげで、平成 5 年の米国を手始めに、数多くの海外出張を経験させていただきました。当時は物流実態や先進事例の調査が多く、その対象地域は欧米でした。その後、日系企業の中国や東アジアへの進出に伴い、中国、韓国等を対象とした物流実態調査が増え、そして近年はアセアン諸国が中心となっています。調査対象国の変化は、大きな意味で「物流の変化」と相まっていることは間違いありません。
出張先では、その地の名物を食すことが楽しみとなっています。それまで一度も食あたりの経験がないのが自慢でしたが、2 年前のミャンマー出張で“やや当たり気味”となってしまいました。それでも今回のカンボジア、ラオス、その後のタイで引き続き「地元メシ」を楽しんでいます。「安心して下さい、当たってませんよ!」。

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