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ラストマイル配送は人からロボットへ②

Global Reportラストマイル配送は人からロボットへ②

スターシップ自体はどこから投資を受けているか開示していませんが、ラストマイル配送を解決するソリューション全体に対して、これまで世界中のベンチャーキャピタルから100億ドル(約1兆円)が投資されているとのこと。期待の高さが伺えます。

◆スターシップの目標とパイロットテスト

スターシップは「ラストマイル配送は、配送側にとっては人件費や車両費などのコストがかかるが、それらは削減が難しい。一方ユーザー側は、その一番コストがかかるサービスを“タダ”で求める。そこに大きなジレンマが発生している。」と述べていました。全くその通りですね。最終的には、ロボットで配送することにより、一回の配送コストを1~3ユーロまで落とすことが当面の目標とのことです。「いつまで」という具体的なターゲット時期に関しては言及がありませんでしたが、現時点でパイロットテストを16ヶ国、56都市で行っています(ハンブルグ、デュッセルドルフ、ベルン、ロンドン、エストニアの首都タリンなど)。50台ものロボットを稼働させて、のべ16,000kmを走行、170万人の一般市民がロボットの配送に遭遇したが、事故は“ゼロ”と強調していました。ちなみに、ドイツでは小口配送業者のHermes、リテールのMetro、英国ではJusteat、スイスではSwiss Post、などの企業とパートナーシップを組んで実験を行っています。メルセデスベンツも“ロボバン(Robovan)”なる車両を開発し、配送ロボットの導入を容易にするような仕組み作りに協力しています。メルセデスベンツのロボバン1メルセデスベンツのロボバン2

写真:メルセデスベンツのロボバン

◆配送ロボットの今後は?

さてスターシップの配送ロボット、皆様はどう思われますか?BVLカンファレンスでも質疑応答が盛り上がりました。素朴な疑問では、「ロボット自体が盗まれたり、壊されたりしないのか」「途中で止まったらどうするのか」など。「盗難については通常の自動車泥棒とリスクは同じだが、配送する荷物として高価なものは想定していない(スーパーの日用品やファストフードのデリバリー)ので盗難や破壊のインセンティブは高くない、よってあまり心配していない」とのことでした。途中で止まった場合には、コントロールセンターで把握できるので、運営者がそこまで行って持って帰ってくることを想定しているそうです。これは配送エリアを「3km×3km」に絞るからこそできると言えます。エリア限定、配送も往復30分以内のため、ロボットに温度をコントロールするような機能はあえて付けていないし、将来的にも予定はないとのこと。気温の違う季節や都市でのテストを繰り返しており、寒い冬の欧州でも“中身のハンバーガーが冷え切ってしまった”といった問題は起きないだろうと考えられています。

アマゾンやSwiss Postがテストしているドローンによる配送との比較ですが、これも「3km×3km」のエリアに限定すると、スターシップの陸送の方が現実的だと考えているようです。但し、それ以上のエリア、特に距離の遠い田舎での配送は、ドローンの方が有利と述べていました。
筆者としては、現在テストしている欧米の主要都市とは違い、人口密度が高く、高層の集合住宅に多くの人が住み、あまり歩道が整備されていないアジアの都市では、導入はまだ難しいかなと感じました。でも、誰かが画期的な解決策を考え出してしまうのでしょうね~。
スターシップのウェブサイト(https://www.starship.xyz/)を覗いてみると、動画を含めて配送ロボットの情報がたくさん掲載されていますので、ご興味のある方は是非訪問してみて下さい。当社でも次の欧州出張では、実際にテストしている状況を取材してみたいと思います。

世界のIoT化動向とロジスティクス

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