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省エネ法等の公表データと自社の物流KPIを比較してみよう

【News Pickup】省エネ法等の公表データと自社の物流KPIを比較してみよう

省エネ法の報告データとベンチマーク

近年、環境対策や省エネの分野では、事業内容を業種単位等で分類し、事業者の実績値を元にベンチマークを設定し、条件を満たす企業を表彰する制度や、行政のホームページで省エネの取り組みに優れた事業者であることを広報する取り組みが広がっています。本記事は、省エネ法の報告データを中心に、自社の位置づけを知ることができるベンチマークについて紹介します。

現在、企業や団体等の環境対策はISO14001等に代表されるようなマネジメントシステムでの対応が中心になっていると思いますが、これらは、あくまでも事業者単位の判断基準での目標設定となりますので、環境対策が進むにつれて、他社との比較による自社の位置づけが気になってくるのではないでしょうか。現在の取り組みの成果を評価する基準(ベンチマーク)が欲しいということになります。

一方、国は省エネ法で特定荷主等の事業者に、エネルギー使用量の報告とエネルギー原単位を年平均で1%低減することを義務付けていますが、従来から積極的に省エネに取り組んでいる事業者はさらなる省エネの余地が小さいために、一部の業種や事業者では、目標の達成が困難な状況となっています。

そこで、業種共通の指標を用いて評価する枠組みとして『ベンチマーク制度』を導入し、事業者の省エネ取組状況を客観的に評価できる仕組みを構築してきています。平成28年度の実績報告までに、産業部門6業種10部門、業務部門1部門が対象となっています。

ベンチマーク制度では、S・A・B・Cの4つのクラス分け評価を行っており、Sランクの優良事業者は、経産省HPでの公表や、省エネ関連の補助金等の公募において、重点的に支援されること等が方針として示されています。逆にランクB・Cの場合は、注意文書の送付や指導を受けることになります。

現時点で輸送部門は、ベンチマーク制度の対象ではありませんが、近い将来対象に加えられることが予測されます。なお、省エネ法「荷主に係る措置」に係る実績報告データは、国が毎年分析・報告していますので、輸送に係るKPIのひとつとして、自社の実績との比較が可能となります。

具体的には、原単位として最も利用されている「輸送量当たりのエネルギー使用量」は、主な業種ごとに分類されて経年変化が報告されていますが、原単位が小さい順に業種を大きく分類すると、素材系の製造業<組立・加工系の製造業<小売業となっています。
(グラフ:「主要業種における輸送量あたりのエネルギー使用量の推移」参照。なお、業態から判断すると、卸売業は、製造業よりも小売業に近い原単位になると推測できますが、省エネ法の特定荷主の卸売業には石油元売等が含まれるため、一般的なイメージとは異なります。また、各年度の報告値は前年度の実績となるため、平成24年度は、東日本大震災が影響していると推測されます。)

業種が大きな分類となっているため、企業単位のKPIとの正確な比較は難しいかもしれませんが、少なくともベンチマークとしては活用できるのではないでしょうか。
なお、具体的な数値はグラフで示すとおりですが、詳しい数値については、報告資料(下記URL)をご参照ください。
主要業種における輸送量あたりのエネルギー使用量の推移

グラフ:主要業種における輸送量あたりのエネルギー使用量の推移

出所:平成28 年度 エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(工場等及び荷主の判断基準遵守状況等分析並びに電子化推進に向けた調査事業)調査報告書
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000132.pdf:2017/9/4現在)

また、公的に確立された輸送に関係するベンチマーク制度の例として、東京都の『貨物輸送評価制度』がありますので、概要を紹介します。

貨物自動車運送事業者のエコドライブ等の取組による燃費削減努力を評価し、東京都内で貨物自動車から排出されるCO2等の削減に寄与することを目的として実施している制度で、車両を60区分に分けて、それぞれの区分ごとに平均燃費を算出し、これをベンチマークとして車両ごとに燃費の偏差値を算出して評価する仕組みとなっています。

(詳細は東京都HP:下記URL参照
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/sgw/nenpi-hyoka.html:2017/9/4現在)

◎平均偏差値算定方法
:個々の自動車の実走行燃費の評価グループにおける偏差値(Pi)の和を評価対象自動車の台数(N)で除する。
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P :平均偏差値
N :評価対象自動車の台数(台)
Pi:個々の自動車の実走行燃費の偏差値※

※Pi:車両の1年間の平均燃費は、軽自動車、乗用車、貨物車等の車種や、車両総重量等によって異なるため、これらを考慮した評価グループごとに平均燃費と標準偏差を求め、事業者が使用する車両1台ごとに、該当する評価グループに対する偏差値を算出したもの。

平均偏差値による評価の区分は、次のとおりとなっています。

(1)平均偏差値が58.5以上
「★★★(三つ星)」
(2)平均偏差値が55.5以上58.5未満
「★★★(準三つ星)」
(3)平均偏差値が52.6以上55.5未満
「★★(二つ星)」
(4)平均偏差値が50.0以上52.6未満
「★★(準二つ星)」
(5)平均偏差値が50.0未満
「★(一つ星)」

60分類された車種区分別に平均燃費が示されていますので、この数値をもとに自社の車両の燃費実績の位置づけを知ることができます。残念ながら標準偏差までは公表されていないので、偏差値を自分で算出してどのくらいの★が得られるかを確認することはできませんが、ベンチマークとして大いに参考となることは間違いないでしょう。

表:東京都貨物輸送評価制度における60分類された車種区分別の平均燃費(km/ℓ)の例
(60区分のうちの5区分)

東京都貨物輸送評価制度における60分類された車種区分別の平均燃費(km/ℓ)の例(60区分のうちの5区分)

出所:東京都貨物輸送評価制度要綱

いずれにしましても、省エネ対策の評価については、ベンチマーク制度として、優秀な事業者を優遇する枠組みとして拡大し、行政の公募・入札、民間のコンペ等の条件として加えられることが予測されますので、事業者の選定基準のひとつになってくるのではないでしょうか。

最後になりますが、ベンチマークを活用するためには自社の実績を把握して何らかの効率を評価する指標(KPI)を整備する必要があります。輸送量や作業量(作業時間)等の仕事量のデータの収集は大きな作業負荷となることが予測されますので、日通総研の倉庫作業分析ツール『ろじたん』がお役に立つ場合もあると思います。お気軽にご相談くださいますと幸いです。

【コラム】省エネ(CO2排出量削減)と輸送コスト削減の親和性

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出所:国土交通省の原価計算書等の添付を省略できる範囲の認可料金
(貨物運賃と各種料金表:交通日本社刊、2010年度版)を参考に試算

積載率100%と仮定して、最大積載量別のトンキロ当たりのトラック運賃と、トンキロ当たりのCO2排出量(kg-CO2/トンキロ)との相関は高くなっています。
従って、輸送トンキロ当たりのCO2排出量を小さくすると、輸送コスト低減につながりますので、荷主が輸送量当たりのCO2排出量をKPIとすることに大きな意義が見いだせます。

この記事の著者

◆出身地:長野県鬼無里村(現在の長野市)◆血液型:A型  ◆趣味:アマチュア野球観戦
【得意分野】・地球温暖化対策、物流に係る標準化(JIS規格等)・危険物輸送コンサルティング等

9月に入ってからめっきり涼しくなってきました。これからは寝苦しい夜が減り、ゆっくりと眠れる日が多くなりそうです。きちんと眠れれば、仕事中に眠くなることが減り、さらに集中して仕事ができそうです(願望)。
物流業界では、業務中に眠ることは必然的に事故につながるため、休憩などにより眠気をコントロールすることは非常に重要になってきます。最近はやりの自動運転でも、現在の国際的なルールの中では、人の監視下での自動運転となっており、自動運転から人の運転に切り替わる瞬間が生じるので、運転者が覚醒していなければ事故につながる可能性が生じます。先日聴講した自動運転関連のセミナーでは、運転者の意識は目の動きで把握できそうとの報告がされていますので、目の動きでアラートを発することが可能になりそうです。
オフィス業務で将来、眠気感知のために目の動きをモニターされる可能性は低いと思いますが、小職も目の色を変えて仕事に取り組み、たとえ仕事中に眠気が襲ってきたとしても、目の動きでさとられないように、いまから鍛錬していきたいと思います。

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